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映画とフェンダー:第1回 ソラニン

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映画には登場人物以外のもの、例えば景色や建物や、フェンダーギターが重要な役割を果たす作品も数多く存在する。そんな映画を紹介する企画が 「映画とフェンダー」だ。


第1回目は、2010年に公開され大ヒットした映画「ソラニン」。まだ観ていない方のために、ネタバレしない程度にあらすじを書くと…。

主人公は、都内の会社に勤めるOL2年目の井上芽衣子(宮崎あおい)とフリーターでバンドマンの種田成男(高良健吾)。2人は大学時代に軽音サークルで知り合い、付き合って6年、多摩川沿いの小さなアパートで一緒に暮らしている。

そんなある日、芽衣子は種田に背中を押してもらい、嫌気の差していた仕事を辞める。一方、種田はサークル時代の仲間とバンド"ROTTI"の活動を続けてはいたが、将来の不安と焦りから音楽への想いを押さえ込んでバイトに励むようになっていた。だが、芽衣子に「本当は音楽やりたいんでしょ?」と心を見抜かれ、バイトを辞めてレコーディングに集中し、デモCDを完成させ、これでチャンスを掴めなければバンドを解散することを決意する。

そうして出来上がった曲が「ソラニン」で、そのデモCDをあらゆるレコード会社に送る。しかし結果は…厳しい現実を突きつけられてしまう。

そして種田は、ある日突然、芽衣子に別れを切り出す。その後、散歩に出たまま家に何日も戻らなくなってしまう種田。芽衣子は「ソラニン」の歌詞を思いながら、種田の帰りを待ち続けるだが…。

主人公・種田が劇中で使っているギターが、フェンダーのMustang(Sonic Blue)。種田がMustangを使っている理由は「好きなバンドがそれと同じギターを使っていたから」と台詞にあることから、モデルからすると種田はニルヴァーナが好きなのかもしれない。

そしてこのMustangが、映画のいろんなシーンで重要な役割を果たす。例えば、2人が住むアパートに置いてあるだけのMustang、あるいはリハスタで種田がMustang…映画を観た人ならそのシーンが頭に浮かぶほどの存在感だ。その中でも、芽衣子がギター&ヴォーカルを務めることになったROTTIが、ライヴハウスで「ソラニン」を演奏するクライマックスでのMustangの存在感は絶大だ。

そのライヴシーンでは、カメラが芽衣子に寄るのと同じくらいの頻度でMustangにもカメラが寄る。芽衣子の姿を映せば、その後にMustangのボディが映る。芽衣子の顔がアップになるとその前後でMustangのヘッドのアップになる。そんなカメラアングルを見ていて改めて気が付く…


 

この映画には青春を生きる若者ならではの台詞も多く、ドキリとさせられるが、ギターの魅力を端的に表現した素晴らしい台詞も多い。

「ギターって、弾く人の気持ちを弦とコイル(ピックアップ)とアンプが増幅してくれる楽器なんです」
「ギターを弾いている間だけは無敵になった気がするんだ」

この映画を観るとバンドがやりたくなり、ギターが弾きたくなる。
そこに年齢は関係ない。

Mustang®