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エフェクターガイド:コンプレッサー
コンプレッションを加えることで、サウンドを次のレベルへと引き上げてみましょう。
コンプレッサーは、ギタリストに最も軽視されているエフェクトの一つです。なぜなら、コンプレッサーの効果は「エフェクト」として感じることが難しいからです。実際、コンプレッションの効果とはどのようなものでしょうか?
コンプレッサーは、サウンドを整えるためのヘルパー的な存在だと考えてください。ボリュームレベルが低い音を持ち上げ、ボリュームレベルが高い音を下げ、信号のダイナミクス(強弱)を均一化し音量感のばらつきをおさえることで、音楽的に聴きやすくし、また演奏する側としても演奏しやすいサウンドにまとまります。コンプレッションを加えたサウンドは、トーンにボディが付加され、サスティンも得られるようになります。
コンプレッサーを上手に使うためにはコツが必要です。その秘密を掘り下げてみましょう。
コンプレッションって?
コンプレッションとは、自動的に音量を調節してくれるものだと考えると理解しやすいでしょう。信号が設定したレベルを上回った場合は音量を下げ、設定したレベルより下回った場合には音量を上げます。手でボリュームをコントロールするよりも速く瞬時に行われ、上手に使えば非常に聴きやすいナチュラルなサウンドが得られます。 使いこなす為に、まずはコンプレッションに関する用語を理解しましょう。
Threshold(しきい値)
信号がコンプレッション効果を受け始めるポイントのことです。この値より高くなった場合は音量を下げますが、低い場合には影響をうけません。Ratio(比率)
しきい値を超える信号に適用される圧縮率。通常4:1、6:1、10:1と表現されます。4:1の比率を設定した場合、例えば、しきい値を4db超えた信号は圧縮されはじめ、1dbに均一化されます。("Limiter(リミッター)"はコンプレッサーとほとんど同じですが、比率は10:1またはそれ以上になります。「Brickwall Limiter」と呼ばれるものは、Ratioが∞:1となり、シグナルがしきい値を決して超えないように設計されています。リミッターは、コンプレッサーと同様の仕組みで機能します。)
Attack(アタック)
信号がしきい値を超えた時に、設定した減衰量に達するまでの時間を調整します。
Release(リリース)
信号入力がしきい値を下回った時、元の音量まで戻る時間を設定します。多くのコンプレッサー、特にペダルタイプのコンプレッサーは自動的にリリースする機能(オートリリース)をそなえています。このオートリリースは、できる限りナチュラルな効果を保つため、減衰の程度によってリリース時間を自動的に調整します。
Output / Gain(出力 / ゲイン)
コンプレッサーが適用され、シグナルが圧縮されると、全体的なボリュームバランスが下がってしまう場合があります。"Output"または、"Gain"というラベルがつくこの設定は、そのような場合に全体のレベルを持ち上げるための調整機能です。ペダルにこのコントロールがない場合には、自動的にレベルを調整している(オートメイクアップ)可能性があります。
Optical Compression
このタイプのコンプレッションは、圧縮する為の回路に光変換素子(フォトセル)を使用しており、とても自然な、滑らかなサウンドを生みだしますので、コードと単音ノートの音量を調整するのに最適です。
FET Compression
クラシカルな圧縮方法で、FET(電界効果トランジスタ)によって制御されます。アタック、リリースともかなり速く設定ができるこのタイプのコンプレッションは、サウンドに独特な味付けをします。特にレゲエやスカなどのキレのあるカッティングに最適です。
VCA Compression
Voltage Controlled Amplifier(ヴォルテージコントロールアンプリファイア)回路を使用した圧縮方法で、ギターのAC信号をDC電圧に変換する方法です。また、VCAコンプレッションは、Opticalコンプレッションと、FETコンプレッションのサウンドをシュミレートできる為、非常に便利で優れた圧縮方法です。
その他のCompression
上記は、エフェクトペダルとしてギタリストが使用する一般的なコンプレッサーですが、ラック製品になると、他にもいくつかの圧縮方法があります。
Vari-Mu
入力に応じて出力を変えることができる特殊なチューブを使用した真空管コンプレッサーです。 非常に高価ですが美しい響きが特徴です。
PWM
パルス幅変調コンプレッションは、高周波数発振器で入力シグナルを分析してレベル調整します。これは非常にクリアなサウンドが特徴で、
特にアコースティックサウンドに重宝されます。
その他にもまだ圧縮方法はありますが、これらが遭遇する可能性の高い圧縮方法です。
エフェクトボードにコンプレッサーを加える
重要なのは、その順序です。ほとんどのプレイヤーは、コンプレッサーをギターに近い位置で使用しています。 コンプレッサーはダイナミクスを一定にする効果がある為、通常ディレイやリバーブの後には設置しません。ディレイやリバーブはナチュラルな減衰を魅力とするエフェクターですので、シグナルのレベルを均一化しようとするコンプレッサーとは相容れないコンセプトのものだからです。 しかし、オーバードライブやデイストーションの前にコンプレッサーを設置したくない場合もあるでしょう。高ゲインのエフェクターはシグナルがゲイン回路を通ることでダイナミクスが自然と調整される為、コンプレッサーは必要ないですし、低ゲインのオーバードライブなどは、ピッキングの強弱で歪みを調節することがあり、そのサウンドを維持する為にはコンプレッサーを使用しないという選択もあります。
コンプレッサーはクリーントーンや、すこしだけ歪んだサウンドで威力を発揮します。その為、できるだけ最初の部分に設置しましょう。ボリュームペダルの前に設置した場合、ボリュームペダルは通常通り働きますが、ボリュームペダルの後にコンプレッサーを設置すると、ボリュームの強弱によってコンプレッション効果に変化が起こります。(ボリュームを上げるとしきい値に達し、サスティンが追加されるので、リードパートをプレイする時に役立つかもしれません)
結論
コンプレッサーは、ワウやオーバードライブ、デレィなどの様にわかりやすい「クール」な効果はないかもしれませんが、プレイヤーにとっては親友になり得るペダルでしょう。ちょっとしたコンプレッション効果は、トーンに美しいタッチを加え、プロフェッショナルで完成した、存在感のあるサウンドを作り出します。