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中規模サイズの会場で力強いベースサウンドを作る方法

クラブでのギグで重々しいローエンドをキープする方法をご紹介

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あなたが中規模サイズのクラブでのギグを控えたベースプレーヤーだと想定します。クラブギグの経験が少なく、ソリッドで素晴らしいベース・サウンドを作るにはどうしたらよいだろう、と考えているとします。自分の機材一式は熟知していても、会場については知りません。パフォーマンス中にサウンド系のトラブルなどで注意が散漫になることを極力避けたいと考えています。

ここでは、屋内にある「中規模(収容人数:250〜500)」のクラブでのギグを想定して話を進めます。これは多くの教会やちょっとしたイベントにも適用できます。規模的にいえば、「小規模」は25〜100人のコーヒーハウス、「大規模」ギグは500人以上を目安とします。

以下に、必要な出力ワット数やステージ上での音量の大きさについて検討していきましょう。

Rumble 100などの100ワットクラスのアンプであれば、上手く機能してくれるはずです。パワー不足を起こすよりも大きすぎる方がよいため、さらに大出力のアンプでもよいですが、100ワットで十分でしょう。適切なPAシステムと操作を熟知したサウンド担当者がいるという前提であれば、自分たちですべきことは、サウンドを自分とステージ上のバンドメンバーの耳で聴くことだけ。大出力のデュアル8×10インチのコンサート用機材を持ち込む必要はありません。ここはナイトクラブで、O2アリーナではないので。クラブではラウドなサウンドが適していますが、騒々しすぎるのはよくありません。

10インチスピーカーキャビネットでは、よりタイトでパンチが効き、かつ明瞭なサウンドを得られます。従って、4×10インチキャビネットが1台あれば、クラブでの中規模サイズのギグで失敗することはまずありません。また、15インチスピーカーは、その大きさに応じた低音の効いたサウンドが得られます。しかし通常は、かなり大きな2×15インチ・キャビネットに収まっていることが多く、中規模のギグにはやや持て余し、運搬や設置もさらに大変です。とはいえ、10インチスピーカー2台と15インチスピーカー1台の組み合わせは、上手く機能すると思います。

コンサート会場では、ステージの高さにもよりますが、設置したキャビネットは自分の耳の高さでなく、オーディエンスの耳の高さになるでしょう。ここにステージがあったとして、キャビネットは通常、自分の膝の高さにあるでしょう(もっと高さを上げてもいいと思いますが)。キャビネットからどの程度離れた場所に立つかどうかは、そう問題ではありません。しかし、ステージが狭く窮屈で、膝の高さのキャビネットが自分の30〜60センチ後ろに設置されている場合、自分の出すサウンドは鼓膜でなくふくらはぎに当たっているため、自分のサウンドを正確に捉えることができない、ということを理解しておく必要があります。そうなると、音量を上げたいという衝動を抑える必要があるでしょう。そのような場合はモニターがあれば、自分のサウンドを確認するのみ役立ちます。

アンプの位置を高くすることによるメリットのもうひとつは、フロア・カップリングと呼ばれる好ましくない状況を避けることができます。キャビネットをフロアまたはステージ上に直接置く場合、キャビネットの振動がフロアへ直接伝わります。フロアカップリングが起きると異常なレベルで低音部を増幅させ、サウンドの明瞭さや精度が失われます。フロアカップリングは、ほぼコントロールが利きません。たとえ2〜5センチ程度でも、フロアとキャビネットの間に隙間を作るべきでしょう。多くの大出力ベースキャビネット(4×10インチ以上)にはキャスターが付き、その分キャビネットとフロアの間に数センチの隙間ができます。運搬しやすいだけでなく、フロアカップリングも防いでくれます。しかし、キャスターの無い小さなキャビネットを2段重ねの下段に使用する場合は、フロアやステージとの間にたとえ少しでも隙間を作るため、何らかの安定した方法を見つける必要があります。

ほとんどの場合オーディエンスは、ベースサウンドをアンプからでなくPAシステムを通じて聴くでしょう。PAシステムへ直接信号を送るためのXLR出力端子を持たないアンプの場合、ダイレクト・ボックスを使用します。8つのスイッチと3つの出力やサテライト接続を備えたような、特に高価なものを用意する必要はありません。通常は、シンプルなパッシブダイレクトボックスで十分事足ります。一般的なダイレクト・ボックスは、2500円〜5500円(25〜50米ドル)程度で入手可能です。

さらに、サウンド担当者との関係は重要です。サウンド担当にも、高い知識を持つ人と、そうでない人がいます。運が良ければ、会場での適切な音量や、プレイヤー自身がほとんど聴き分けられないほどの効果的なトーン作りを熟知した、有能なサウンド担当者が付いてくれるでしょう。不運な場合、知識の乏しい担当者に当たってしまうこともあります。しかし、サウンド担当者と真摯に向き合えば、プレイヤー側からの提案や指示を聞き入れてくれるでしょう。サウンド担当者とは良い関係を築くことが大切です。担当者が有能であるかどうかにかかわらず、担当者をむげにすれば、ミキシング・ボード上でのプレイヤーの扱いにも悪影響を及ぼすでしょう。

最後に、ベース弦について。ステージ上での良いベースサウンドを得るために、新たな弦を用意する必要はありません。新しい弦の明るいサウンドを好む場合は別ですが、油分等でベトベトに汚れたり、切れそうなものでない限り、使い込んだ弦で十分です。ジェームス・ジェマーソンは弦を交換しなかった、という逸話も残っているくらいですので、最終的には自分なりのやり方を見出してください。