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Jaguar®のコントロール遍歴:あなたが知っておくべきこと
多くのスイッチ・オプションを備えたJaguar®は、現存する中で最も多彩なギターと言えるでしょう。そのコントロールの遍歴について学びます。
最高級ラインナップのひとつとして1962年に発表されたJaguar®。シャープなオフセットボディに24インチ・ショートスケールのネック、特製のフローティング・トレモロシステムとクローム製パーツが特徴的なサウンドを生み出すこのギターは、サーフミュージック時代の波にうまく乗りました。
最初のリリースから13年後に一度は生産中止されましたが、1970年代後半にパンクやインディーズのプレーヤーたちの間で再び流行しました。さらにJaguar®と従兄弟にあたるJazzmaster®と共に、Stratocaster®やTelecaster®と比較して手が届きやすい存在となりました。
ではなぜJaguar®シリーズはしばらくの間、流行の先端から遠ざかっていたのでしょうか? その理由のひとつには、Stratocaster®とTelecaster®の台頭が挙げられます。また、ブリティッシュ・インヴェイジョンがサーフミュージックの流行を一掃してしまったことも要因のひとつです。
それらの理由に加え、Jaguar®に搭載された画期的なコントロール・システムにその原因がある、という意見もあります。先進技術を採用し、より多くのオプションを提供するコントロール・システムでしたが、同時に複雑なシステムでもありました。
ここで改めて、Jaguar®のコントロール・システムを簡単に解説しましょう。
CLASSIC JAGUAR®のコントロール
基本的に、Jaguar®には「リード(LEAD)」と「リズム(RHYTHM)」の2種類のサーキットが内蔵されています。
リード・サーキットは、2つあるピックアップの両方をアクティブ化し、ロウアー・バウトに配置されたクロームプレート上にある3つのスライド・スイッチで各オプションを切り替えます。一方のリズム・サーキットは、ネック(リズム)・ピックアップのみがアクティブになり、アッパー・バウトのクロームプレート上にリズム・サーキット用のコントロールが並びます。リズム・サーキットを選択した場合、ブリッジ・ピックアップはアクティブ化されず、ロウアー・バウトのボリューム・コントロールとトーン・コントロールも機能しません。
リード・サーキットのスライド・スイッチの内、ブリッジに最も近いスイッチは、キャパシタと連動するミッドトーン・カット・スイッチで、「strangle(抑圧するの意)」スイッチとも呼ばれています。
2番目のスライド・スイッチは、ブリッジ・ピックアップのオン/オフ切り替えで、ボディ・エッジに近い3番目のスイッチは、ネック・ピックアップとリード・ピックアップの切り替え用です。
リード・サーキット上には、マスター・ボリュームとトーン・コントロールの2つのポットが配置されています。
アッパー・ホーンに配置されたリズム・サーキットには、重い低音が特徴的なネック・ピックアップとのみ連動する2ウェイ・スライド・スイッチ1つが付いています。アッパー・ホーンにはまた、スライド・スイッチに近い場所にあるボリューム・コントロールと、「トレブル・ロールオフ」と呼ばれるトーン・コントロールの2つのホイールが配置されています。
American Professional Jaguar®のコントロール
伝説のJaguar®シリーズの最新モデルであるAmerican Professional Jaguar®では、クラシック・モデルに配置されていたコントロールの多くを簡素化しました。ロウアー・バウトに配置された4ポジションのセレクター・スイッチと、アッパー・バウトのフェイズ・トグルが、さまざまなトーン・オプションを実現します。
両方のピックアップをアクティブ化し、フェイズ・スイッチを“オン”にすると、片方のピックアップの極性が変わり、ファンクやレゲエ向きの軽快なサウンドが得られます。さらに、ボリュームを絞ってもハイトーンを維持する新しいトレブル・ブリード・サーキットが組み込まれています。
サーフミュージックからパンク、インディーロックまで、Jaguar®はあらゆるジャンルに対応するギターです。ビンテージ・モデルから最新モデルまで、その革新的なコントロールのおかげで、Jaguar®はフェンダーの多種多様なギターを代表するギターのひとつとなっています。