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ギターで生きていきたいと思ってヘッド裏に“魂”の文字を書き込みました | 山内総一郎 フジファブリック【後編】

Souichiro Yamauchi

Photograph by Maciej Kucia / Styling by Shogo Ito(sitor)/ Hair&Make by Shoju Igarashi(Astar)

 

今年4月でメジャーデビュー15周年を迎え、1月23日には通算10枚目となるニューアルバム「F」をリリース。さらに10月20日には15周年の集大成となる大阪城ホールでのライヴ「IN MY TOWN」も控えているフジファブリックから、ヴォーカル&ギターの山内総一郎が登場。後編はギターとの関係について話を聞いた。


コードが弾けた時に ギターで生きていきたい!と 直感的に決めた
 

― 最初にギターを手に取った時のことを教えてください。

山内総一郎(以下山内) 14歳ですね。ザ・ビートルズのコピーバンドでドラムをやっていた父の影響です。狭い部屋を与えてもらっていて、そこに父の電子ドラムと電子ピアノが置いてあって、僕は押し入れで寝ていました(笑)。押し入れの上に物置スペースがあって、そこにアコースティックギターが入っているのを発見したんです。それで父親に“どうやって弾くの?”と教えてもらうところから始まりました。父はビートルズやフォークを通っている人なので、まずはGコードを教えてもらって、このコードが弾けた時にギターで生きていきたい!と直感的に決めてしまって。そのあと初めて手に入れたStratocasterのヘッド裏に“魂”の文字を書き込みました(笑)。 

 ギターを始めてからは、はっぴぃえんどから速弾き系まで、ギターを弾く喜びが根底にあったので、いろんなテクニックを身に付けたいと思い挑戦しましたね。ジャズのジョー・パスやクラシックのアンドレス・セゴビアも聴きながらずっと弾いていました。

― 山内さんのギタープレイは独特で、「銀河」(2005年)あたりは過去にも同時代にもいない、いろんな要素が入った山内さんのプレイの真骨頂だと思います。

山内 僕らは歌だけじゃなくて、レッド・ツェッペリンのように楽器全員が主役になる音楽をやろうと言っていたんです。ヴォーカル&ギター、ギター、キーボードと上ものが3人いたので、棲み分け的に志村君がバッキング担当だと、僕はオブリガードやソロ/リフを弾く役割でした。ダイちゃんもリフや単音系のムーグ系を弾いたり、オルガンで広げていったのが「銀河」あたりで、独自のアンサンブルができつつあった手応えはありましたね。

― 山内さんのギターソロもすごく好きです。オーセンティックなギタープレイはもちろん体の中に入っているけど、何となしの手癖では終わらせない。口ずさめる“第3のメロディ”のようです。

山内 ライヴのアレンジを聴いてガッカリした経験のある人たちの集まりなので、手癖で作らないというか、他のパートと違う方向で進んでいってもうひとつの方向で交わるものをバンドとしてやっていました。みんながその楽器やフレーズに対する誇りを感じているので、適当にやるということはなかったですね。

― ここ数年、フジファブリックのギターは山内さんだけですよね。

山内 ええ。もちろんギターが2本あったほうがいい時もありますけど、そういう時はダイちゃんにオルガンの音色を考えてもらっています。ジョン・ロードとリッチー・ブラックモアじゃないですけど、ギターと鍵盤で壁になることもあるので。それと最近は、ダイちゃんにもギターを弾いてもらっています。弾け!って言って(笑)。それがけっこう楽しんでいて、鍵盤よりも練習してるんじゃない?というぐらいなので、ダイちゃんはギターの魅力に取り憑かれています。しかもライヴの時は、ちゃっかり僕のシグネイチャーモデルを使っていますからね(笑)。

Souichiro Yamauchi

この翼は決して折れない。 ストラトがあればどこまでも飛べる気がします
 

― フェンダーギターとの出会いは?

山内 アコギにのめり込んでいくうちに、“エレキギターを買ったほうがいいんじゃないか?”と父から提案されたんです。で、中3の終わりに近所の楽器屋さんに見に行って、気に入って初めて買ったエレキがフェンダーのStratocasterでした。

― 2016年10月にはシグネイチャーモデルSouichiro Yamauchi Stratocasterを作らせていただきました。

山内 はい。カラーリングからパーツまで、全部をフェンダーのスタッフの方々とやり取りして決めました。地道な作業でしたけど、フェンダーからシグネイチャーモデルが出るなんて、ギタリストからすると夢なんですよね。本当にこんなことがあっていいのか!?くらい嬉しいことです。僕が初めてギターを買った時、カスタムショップやマスタービルダーシリーズは金額的に手が届かないものだったので、中学生や高校生でも頑張って買えるものにしたくてそのバランスをすごく考えました。シグネイチャーモデルって普通はヘッドにサインが入っているんですけど、それもナシにしてもらいました(笑)。やっぱり普通のギターとして持ってもらいたい。特別なんだけど、弾く人の体の一部になってもらいたかったんです。

― 特別なギターだけど、みんなに愛されるものであってほしいと。

山内 そうですね。それがレオ・フェンダーが最初にギターを作った時の気持ちなんだと思っています。年齢や性別など関係なく、持つ人の翼になるような、スタンダードなものをレオ・フェンダーが残してくれたと思うので、また違った翼を、僕の血が入ったカタチで届けたかったんです。

― ストラトでエレキデビューして、今もストラトを弾いているのが面白いですね。

山内 Telecasterを弾くこともあるしJazzmasterを弾くこともあるけど、Stratocasterに戻ってくるというか。ストラトをずっと弾いているのは、やっぱり何かがあるんでしょうね。14〜15歳の時に自分の身体の一部にしたいと思って、何をするにもストラトを持ち歩いて、弾きながら道を歩いていましたし(笑)。端から見たら変な奴だったと思いますが、そんなの全然関係なかった。その頃に身体の一部にしたいと思っていた気持ちが、まだ僕の中にあるんです。この翼は決して折れないし、ストラトがあればどこまでも飛べる気がしています。


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【ギターコレクション】

Fender Stratocaster 40th Anniversary Edition (Cover写真)
記念すべき“初めて”手に入れたエレキギターで、ストラト生誕40周年を記念して94年に製作されたアニヴァーサリーモデル。ヘッド裏には、若かりし日の本人の直筆により“魂”の1文字が書き入れられている。

 

Fender Custom Shop Stratocaster(2枚目サンバースト)
山内が高校時代に購入したもので、フジファブリックでは志村が好んで使用していた。もともとはオーソドックスなストラトだったが、現在ではスライド奏法用として、ライ・クーダーからインスパイアを得たピックアップが大胆に搭載されている。

 

Souichiro Yamauchi Stratocaster®
山内総一郎のアイコンとも言える62年製Fiesta RedのStratocaster®を基にしたMade in Japanのシグネイチャーモデル。本人自ら工場に行って直接要望を伝えるなど、1年以上の歳月をかけて試行錯誤が繰り返され、手に取りやすい価格帯ながら魅力的なモデル。目を引くのは、本人の実機から引用された鮮やかなカラー。プラスチックパーツはUSA製を採用し、ヴィンテージ感溢れるルックスに仕上がっている。Custom Shop製の"Fat '50s"ピックアップを採用し、さらにエレクトロニクスはすべてUSA製のものを採用することで、想像を超えるサウンドクオリティを実現した。

Souichiro Yamauchi

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PROFILE


山内総一郎
81年、大阪府茨木市生まれ。15歳より音楽を始める。 2004年、フジファブリックのギタリストとしてメジャーデビュー。 現体制となってから、ヴォーカル&ギター、作詞作曲を手掛ける。 2014年にはデビュー10周年を迎え、初の単独日本武道館公演を開催。 2016年、フェンダー社とエンドースメント契約を締結、アンバサダーとして活動。 2019年1月、10枚目となるフルアルバム「F」をリリース。 10月20日には『フジファブリック 15th anniversary SPECIAL LIVE at 大阪城ホール2019「IN MY TOWN」』を行うことが発表された。
› Website:http://fujifabric.com


LIVE INFORMATION
フジファブリック 15th anniversary SPECIAL LIVE at 大阪城ホール2019「IN MY TOWN」
2019年10月20日(日)


New Album

Souichiro Yamauchi

Souichiro Yamauchi

【初回限定盤】¥3,996(tax in)
【通常盤】¥3,240(tax in)
Sony Music Associated Records
2019/01/23 Release