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MIYAVI×宮下貴裕 スペシャル対談インタビュー【前編】

世界で活躍するギタリスト、MIYAVIの活動15周年を記念し、宮下貴裕によるブランド〈タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)〉とのコラボが実現。世界で15本のフェンダー製オリジナルギターが完成した。音楽とファッションの世界で表現を極めようとする両者。本製品のバックグラウンドを聞いた。

MIYAVI

フェンダーの伝統を継承した革新的かつ美しすぎるエレクトリックギターが、Fender / MIYAVI x TAKAHIROMIYASHITATheSoloist. オリジナルギターだ。世界的なアーティストであるギタリストMIYAVIの活動15周年を記念し、宮下貴裕によるブランド〈タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)〉とのフェンダー製オリジナルギター企画が実現。すべてのパーツがタカヒロミヤシタザソロイスト.によるオリジナル仕様となっているほか、トレモロ機能付きのテレキャスターブリッジや、フロントに搭載されたサステイナーなど、MIYAVIが愛用しているメイン機の特殊な仕様をそのまま受け継いだ仕上がりになっている。15周年に合わせて15本限定でのリリースとなり、MIYAVIの15周年特設ホームページから購入可能だ。今回、この刺激的なセッションの背景を探るべく、両者の対談インタビューをお届けする。

極東発、サイケデリックかつカオスかつパンキッシュな一品(MIYAVI)
ジュエリーっぽく、宝石っぽくしたかった(宮下貴裕)
 

―  今回のコラボレーションのきっかけみたいなものは何かあったんですか?

MIYAVI   もともと近いところにはいたんだけど、何か一緒にやろうというタイミングが去年くらいにあったのが始まりです。最初に“TheSoloist.”という名前をパッと見たとき、俺の事だなと思ったし、感覚的に通じ合うものがあると思ったので……というか、どうしてブランドの名前をタカヒロミヤシタザソロイスト.にしたんですか?

宮下貴裕(以下、宮下)前のブランド(ナンバーナイン)のときも今と同じく一人でデザインをやってたんですけど、組織と自分との間で思い描くブランドの存在価値や方向性に相違が生じてきたので、バンドを解散して新しいソロ活動を始めるような感覚でブランドを立ち上げたんです。

MIYAVI   その話に通じるかもしれないけど、俺自身、共通の目的があればつるむんだけど、惰性でつるんだりするのはすごく嫌で、だから誤解される時もあるし、敵を作りやすかったりする。まあでも、関係ないよね。自分の使命があって、それをやるためだったら敵だって作るし、戦うし、そういう意味では孤高であって構わないと思ってる。それが自分のための人生なんだろうなって。自分も昔はバンドにいたから、ヴォーカリストがいて、ベーシストがいて、誰かに委ねられるような状態っていうのは、正直うらやましくもあるんですが、でも、今の俺は一人で自分らしくやるのが好きだし、そういうスタンス含めて今回のコラボレーションは必然的なものだったのかなと思います。

MIYAVI

―  完成したギターのファースト・インプレッションは?

MIYAVI   重かった(笑)。ずっしりしていて、サウンドも重め。見た目もそうだけど、全体的にNEO TOKYOの雰囲気がよく出てると思います。世界中に素晴らしいギタリストがたくさんいるなかで、日本人として西洋の楽器を弾く意味をどこに見出したらいいだろうと考えて、三味線からの影響でスラップ奏法を始めた。で、今はもっと日本人的なゴチャ混ぜな感じというか、海外のヤツらが何じゃこりゃ!って驚くようなものに意識を向けていて、そういう点でこのコラボギターは自分と宮下さんにしかできなかったと思う。極東発、サイケデリックかつカオスかつパンキッシュな一品。しかもフェンダーでそれが実現できた。伝統あるフェンダーのテレキャスターで、普通は誰もやらないですよ。こんなサイボーグみたいなギター(笑)。

―  デザインに関して、フェンダーだけでは実現できなかったことも多々ありましたし、我々も新しくチャレンジすることができて楽しかったです。宮下さんはMIYAVIさんのマインドに感化されてイメージを膨らませていったんですか?

宮下   そうですね。弾いてる人を想像して、MIYAVIくんに憑依されたような状態でデザインを考え始めて。僕の中でMIYAVIくんは生っぽいイメージなんです。すべてをさらけ出してるという意味でも。スケルトンになっているのもそういうことですし、一つ一つのディテールにしっかり意味を持たせてデザインを考えました。エッジの部分とか。

―  すごい細かいですよね。ビスも1個1個に手が加えられている。

宮下   ステージでライトが当たった時、キラキラ光るようになってるんです。

MIYAVI   あ、ホンマや!

MIYAVI

―  それ以外にも「なんだこれは!?」ってポイントがたくさんあって、レザーのカービングも継ぎ目がないようにデザインされていたりとか。

MIYAVI   カービングの柄はなんですか?

宮下   星です。

MIYAVI   (スティーヴィー・)レイ・ヴォーンを連想するよね。

―  そうなんですよね。いかにもアメリカな感じを入れつつ、ブラックカラーでモダンに仕上げている。

宮下   ジュエリーっぽく、宝石っぽくしたかったというのはありますね。実際、ダイヤルには天然のオニキスを埋め込んでますし。

MIYAVI   へえ!

MIYAVI

―  フェンダーにとっても刺激のある一品ですが、全体的にテレキャスター感はしっかり守られている気がします。

宮下   アウトラインは絶対にいじりたくなかったんですよね。

MIYAVI   伝統を継承しつつ、どう昇華させるか。それが進化なんだろうなと思います。

宮下   その通りですね。洋服を作るときと似てますね。自由にやろうと思ったら、袖が無い服とか何でもできるわけです。ただ、変えたくないところはそのままにしたかったので、テレキャスターはテレキャスターじゃないといけなかったんです。

MIYAVI   このアームのグリップは?

宮下   このグリップは、ちょっと遊び心が感じられるポイントが一カ所欲しいなと考えたとき、自転車のグリップのようなものを連想して。MIYAVIくんを想像したら、自然と出てきました。

MIYAVI

MIYAVI   たぶん、俺が作ろうとしてる音楽も――俺はカリフォルニアロールって言ってるんですけど――どこかに暴走族的なエッセンスがあるはずで。例えば、日本に来た外国人がヤンキーとかロボットカフェとかを見て感じるキテレツ感、そういうものを音楽でやれたらいいなと。ただ、それが「なんか変わっていて面白い」っていう一過性のものじゃなくて、メインストリームで通用するものにしたい。だから、日本を出て海外に行ったんですよね。日本の事もあんまり知らない、旅行するなんて考えたこともない人たちにも届けないと意味がないので。

› 後編に続く


MIYAVI

Fender / MIYAVI x TAKAHIROMIYASHITATheSoloist. オリジナルギター
すべてのパーツが〈タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)〉によるオリジナル仕様となっており、ボディ側面にはカービングの施された継ぎ目のないレザーが埋め込まれ、15周年を記念したソロイストオリジナルデザインのコインが一周にわたり打ち込まれている。さらにダイヤルにはオニキスが埋め込まれ、ネック部分にはコラボ名が美しいシェルで刻印されておりステージライトの入射角に応じて刻々とそのギラつきを変化させ、ピックガードはスケルトン仕様でサステイナーの基盤が透けて見え少年心をくすぐるデザインとなっており、さらに2mmの厚さの側面を凹凸加工にしているため、こちらもステージングの際浴びた照明をきらめくように反射させるよう従来のギター製作では考え得なかったファッションブランドならではの見え方に対する工夫がなされている。

また、ストラップもオリジナルレザータイプとなっており勢の限りを尽くしたこれ以上ないスペシャルな一式となっている。宮下氏の数学的であり、様々な生地や付属の特性を活かし、更にスタイリングバランスをも計算されているという洋服作りにおける根幹的な思想、洋服に携わる各個人が“独奏家”として孤高の精神を持ち合わせて欲しいという“TheSoloist.”の願いの部分と、ギターを手に“独奏家”として世界を革新的に駆け抜けるギタリストMIYAVIという存在とがクロスオーバーした作品となっている。

また、楽器としても妥協のないユニークなギターとなった。トレモロ機能付きのテレキャスターブリッジや、フロントに搭載されたサステイナーなど、MIYAVIが愛用しているメイン機の特殊な仕様をそのまま受け継いだ仕上がりになっている。近年のMIYAVIサウンドには欠かせない機能とサウンドが詰め込まれた唯一無二のテレキャスターだ。

デザイン:TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.
メタルパーツ:END
レザー:GROK LEATHER,Rooster King & Co.
https://myv382tokyo.com/15th/


MIYAVI
ソロアーティスト / ギタリスト。1981年大阪府生まれ。ピックを使わず指でエレクトリックギターを弾く、独自のスラップ奏法で注目を集めている。2010年10月リリースのアルバム『WHAT’S MY NAME?』では、ギターとドラムのみの編成でオリジナルのサウンドを確立。2012年11月にさまざまなジャンルの“サムライアーティスト”とのコラボレーションアルバム『SAMURAI SESSIONS vol.1』を発表し話題を呼んだ。ほかにも布袋寅泰、野宮真貴、Good Charlotteらの作品への参加など精力的な活動を続け、2013年6月には自身の名を冠した海外デビューアルバム『MIYAVI』をリリース。さらに2014年にはSMAPのシングル『Top Of The World』を作曲し話題を集めた。また同年の12月には俳優として出演したアンジェリーナ・ジョリー監督によるハリウッド映画『UNBROKEN』が全米で公開された。2015年4月にDrew & Shannonをプロデューサーに据えロサンゼルス、ナッシュビルにて制作されたフルアルバム『The Others』を発表。2016年4月には前作から約1年ぶりとなる音源『Afraid To Be Cool / Raise Me Up』を両A面シングルとして配信でリリースした。8月にニューアルバム『Fire Bird』を発表。2017年、デビュー15周年を記念したオールタイムベストアルバム『ALL TIME BEST "DAY 2”』をリリース。現在は対バンライブ企画「NTT DOCOMO presents MIYAVI 15th Anniversary Live ''NEO TOKYO 15''」を開催中。

› MIYAVI:https://myv382tokyo.com/


宮下貴裕
デザイナー。1973年東京都生まれ。 服飾学校には通わずショップでアルバイトをしながら独学で洋服を学ぶ。 株式会社ネペンテスで企画・バイヤーなどを経て独立しデザイナーとなる。 2009年、「NUMBER (N)INE(ナンバーナイン)」解散・脱退後、一年の沈黙を破り、2010年に「Soloist,Inc.」を設立。「TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.」として再び洋服創りを始動させる。“TheSoloist.”とは、洋服に携わる各個人が、“独奏家”として孤高の精神を持ち合わせて欲しいという願いであり、また再び洋服の世界へ戻ってきたという自分への不退転の決意の表れである。

› TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.:https://www.the-soloist.net/