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Special Interview: MIYAVI(前編)

MIYAVI

独特のスラップ奏法や高度なテクニックによって世界中から注目されるギタリスト、MIYAVIのシグネイチャーTelecasterが発売される。2016年に入手して以降、何度もカスタマイズを施しながら理想のサウンドを追求してきたオリジナルのFENDER CUSTOM SHOP製モデルは、ほぼすべてのレコーディングやライヴで使用され、文字通り“MIYAVIサウンド”を築き上げた世界唯一のモデル。このたび誕生されたシグネイチャーモデル「MIYAVI Telecaster」は、そのオリジナルモデルをMIYAVI本人の監修のもと忠実に再現している。本サイトでは今回、MIYAVIのインタビューを2回にわたってお届けする。前編ではフェンダーとの出会いからシグネイチャーモデルに対するこだわりまで、じっくり聞いた。

欲張りと言えば欲張りなギターだけど、これ1本で戦いたかった
 

― MIYAVIさんとフェンダーの出会いは?

MIYAVI  もう5年くらい前になるのかな?バド(フェンダーミュージック株式会社 代表取締役社長 APAC統括 エドワード・コール)から僕のオフィスに電話がかかってきて。それでフェンダーに出向いたところ、“君はTelecasterっぽいギターを使っているね?”と言われて(笑)。要は、彼の中のひとつの柱でもあり、核となっている言葉、“Real Deal”(本物志向)ですよね。“本物(のテレキャス)を使ってみなよ”と。それがフェンダーとの出会いです。

― その時に初めてフェンダーのTelecasterを弾いてみたわけですね。

MIYAVI  他にホットロッドや、エスクワイヤなども弾かせてもらいましたが、このテレキャスの持つ、独特の音の濃さというか、弾丸のようなサウンドに驚きました。僕はギター設計に関してはど素人で、ファンの方のほうがギター構造について詳しいと思うんだけど(笑)、理屈を超えて何か感じるものがこのTelecasterにはあったんですよね。それでようやく、バドが言わんとしていたことがわかったというか。僕はずっとトム・モレロ方式というか、別にギターの種類なんて何でもいい、そのへんにあるものを弾いても“カッコいい!”と思わせたい、そう思ってきたので、あまり道具の細部にはこだわらないタイプだったんですけど、料理人が本物の包丁を使うのと一緒で、本物のギターを使うことの大切さと、その責任に気付かされた。ただ、(Telecasterは)主張は激しいですね。大人しく黙ってそこに存在してくれないというか。『花の慶次』で言うと松風(主人公・前田慶次の愛馬)みたいな(笑)乗りこなすのに時間がかかる。けど、ハモったらとてつもないパワーと破壊力を手にすることができる。

― そこから改良を重ねて、MIYAVIモデルの原型となるギターが出来上がったと。

MIYAVI  はい。例えば、スティーヴ・ヴァイやジミ・ヘンドリックス、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、トム・モレロ、そしてエリック・クラプトン。みんな自分だけの“シグネイチャーサウンド”があるじゃないですか。そういう音を僕も作りたいと思っていたし、ずっと追い求めてきた。僕の理想は“三味線”だったんですよ。

― MIYAVIさんは三味線から大きな影響を受けていると公言しています。三味線のどんなところに魅力を感じるのでしょうか。

MIYAVI  三味線の音って常にドライブしていて、サステインも独特。アコギともエレキとも違う。なので、エレキギターで“三味線感”を作るために改造を重ね、最近はカッティングだけではなくソロも弾くようになってきたので、そのためのトーン調整もして。気付けばサイボーグのようなギターになっていました(笑)。

 とにかく、このギターと出会ってから現在まで試行錯誤をずっと重ねてきました。フェンダースタッフには無理難題を投げ続けてきましたが(笑)、それに応えるために技術の粋を集めてくれました。すごく誇りに思います。王道のギターならフェンダーにいくらでもある。だけど、僕はそこを目指していない。僕のTelecasterは邪道というか“異端”。でも、それでいいんです。異端こそが新しい王道を作る、と思っているから。ジミヘン、スクリレックス、コーン、ナイン・インチ・ネイルズ、デヴィッド・ボウイ…みんな最初は“何これ?”って言われていたじゃないですか。異端であることを恐れることはない。そう強く信じています。

― そんなMIYAVIさんのカスタムショップ製のTelecasterが、このたびMADE IN JAPANラインから発売されることになりました。特徴としてはまず、ピックアッププレートと一体型でありながらアーミングを可能にした“MAVERICK SUPER VEEトレモロシステム”が搭載されています。

MIYAVI  このトレモロアームを駆使すれば、歌うようなギターソロが弾ける。今の僕にとって、なくてはならない存在です。以前、テリー・ルイス(ジャム&ルイス)と仕事をした時に、“MIYAVI, Melody is the king.(メロディこそが王様なんだよ)”と言われたことがあって。その時は全然意味がわからず、“Oh,cool.(あっそ)”と言ってスラップばかりやっていたんですけど(笑)、やり続けるうちに意味がわかってきた。リズムは時代を作るけれど、メロディは時代を超えて人の心に残る。自分もギターでメロディを生み出したいと思って、この仕様に辿り着いたんです。

― ピックアップは、今や“MIYAVIサウンドの代名詞”であるトーンを実現するためのサステイナーピックアップをフロントに、American Vintage 65 Stratocasterシングルコイルをセンターに、ファズとの相性が良く高域でも音が太いDuncan Little 59ハムバッカーをブリッジに採用した3ピックアップ構成になっています。

MIYAVI  “やりたい”と思うことを、がむしゃらにどんどん足していったから、ぶっちゃけ節操ないと思います(笑)でも、本当にいろいろなことができると思う。それこそ、ミューズのマシュー・ベラミー(Vo, Gt)もギターを改造しまくっているけど、感覚的にはそれ近いと思っています。ただ、こっちのほうがまだギター然としているかな(笑)ギターとしての型を保っていられるギリギリの改造というか。吉野家でいうと大盛りつゆだく全部乗せ、さらにカレーも追加するみたいな。

― はははは!

MIYAVI  欲張りと言えば欲張りなギターだけど、なぜそこまで欲張ったか?というと、逆にシンプル、ミニマルでいたかったから。世界のどこに行っても“これ1本で戦いたかったから”なんです。世界中をこれ1本で渡り歩きたい。アコギを持ってストラトも予備で、ギターテックがいなきゃ音が出せない…なんてことはやってられない。いつ、どんな現場へ行っても、このギターとペダルボードだけで自分にしか出せない音を出して勝負できるようにしたかったんですよね。

― 今回のシグネイチャーモデルには、そんなカスタムショップ製のオリジナルの意志がかなり忠実に受け継がれていると。

MIYAVI  もちろん。改造した本人が開発に立ち会っていますからね(笑)誰も聴いたことのない音を出せるギターになったんじゃないかな。いわゆる普通のTelecasterとは違うものだと思ってほしい。もちろんStratocasterでもないし、完全に新しいギターだと思う。

 逆に言えば、普通のTelecasterではできないことがたくさんできる。アーミングもそうだし、Stratocasterにはないジャキジャキ感もあって、かと思えばメロディックなトーンも出せる。サスティナーもついているし、面白い使い方がいくらでもできるので、逆に、ここからどんどん改造してほしいし、僕が思いつかないような奏法をどんどん試してほしいですね。


› 後編に続く(近日公開予定)


MICHIYA HARUHATA

MIYAVI TELECASTER®

「サムライギタリスト」の異名で世界中を股にかけ活躍するギタリスト、MIYAVIのシグネイチャーモデル。

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PROFILE


MIYAVI
エレクトリックギターをピックを使わずにすべて指で弾くという独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに約30カ国300公演以上のライヴとともに、6度のワールドツアーを成功させている。2015年にグラミー受賞チーム“ドリュー&シャノン”をプロデューサーに迎え、全編ナッシュビルとL.A.でレコーディングされたアルバム『The Others』をリリース。また、アンジェリーナ・ジョリー監督映画『Unbroken』では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、映画『Mission: Impossible -Rogue Nation』日本版テーマソングのアレンジ制作、SMAPへの楽曲提供をはじめさまざまなアーティスト作品へ参加するなど、国内外のアーティスト/クリエイターから高い評価を受けている。常に世界に向けて挑戦を続ける“サムライギタリスト”であり、ワールドワイドに活躍する今後もっとも期待のおける日本人アーティストの一人である。
› Website:http://myv382tokyo.com