#FenderNews / SILENT SIREN インタビュー
自分のシグネイチャーモデルを 出せるなんて夢みたいな話
来年、結成10周年を迎えるSILENT SIREN。もはや日本のガールズバンドシーンを語る上で欠かせない存在のサイサイだが、12月下旬にすぅ(Vo,Gt)とあいにゃん(Ba)のシグネイチャーモデルが、フェンダーのMADE IN JAPANラインで発売される。それぞれ監修を務めたすぅ(Vo,Gt)とあいにゃん(Ba)に、どんなコンセプトを持って開発に臨んだのか話を聞いた。
― シグネイチャーモデルの発表おめでとうございます。ご自分のシグネイチャーモデルを手にした感想から、まず聞かせてください。
あいにゃん 嬉しいです。お話をいただいたのが1年ぐらい前だったんですけど、発表が決まるまでファンの方にも言えないじゃないですか。だから“いつ言えるんだろう?”って、ずっとウズウズしてました(笑)。
すぅ 自分のシグネイチャーモデルを出せるなんて夢みたいな話ですよね。サイサイを好きだからという理由で使ってもらえたらもちろん嬉しいですけど、ギターを始めたての子が、“パッと見カッコいいから”という理由で手に取ってくれてもいいと思うんですよ。
― 作るにあたってはそこも意識しながら?
すぅ そうですね。男の子というよりは、ガールズバンドをやりたいとか、やっている子たちに向けて作ったところはあります。
― 最初から“こういうものを作りたい”というイメージはあったんですか?
すぅ 私たちが普段使っているものに近いものを提供したいよね、というアイディアはありましたね。
― そこから打ち合わせを重ねながら、具体的なコンセプトを決めていったわけですね。
あいにゃん 私のSILENT SIREN Jazz Bassは、普段使っている“ネイティ”というネイティヴ柄のAmerican Standard Jazz Bassをそのまま再現してもらおうと考えていました。 ネイティのイメージは1984年頃のごく短期間に生産されたJazz Bassで、メイプルネックに白いピックアップカバー、大きく繋がってる白いピックガードが大きな特徴です。 そのネイティは本当にこだわりにこだわってイチから作っていただいた、世界に1本しかない大事なベースで、とても愛着があるんです。それを、細かい部分まで忠実に再現していただいたんですよ。コントロールノブは集めてもらったものだったので、再現できるのかなと思っていたら、それも集めていただいて。最初見た時に感動しましたね。細く削ってもらったネックや、ネック裏のサラサラ加工(サテンフィニッシュ)も再現してもらっているので、弾きやすさという点でもオススメです。私が持っているベースの中でも、一番弾きやすいんですよ。初心者さんに手に取ってもらえたら嬉しいですね。やっぱり弾きやすさって大事だと思うんです。
すぅ 弾きづらくてやめちゃうことってありますからね。
― ネイティヴ柄のストライプも目を引きますね。
あいにゃん ネイティヴ柄を入れるとネイティそのものになってしまうので、手に取りにくいかなという不安はあったんですけど、せっかくこういう機会をいただけたので、思いきって再現してもらおうと思いました。
すぅ かわいいし、飽きなさそう。
あいにゃん そうなんです。意外に飽きないんです。そこは大きく書いてほしい(笑)。
すぅ 使い込むと色が褪せてきて、ヴィンテージ感がより味になるし。
あいにゃん ネイティも最初はもっとパキッとしたネイティヴ柄だったんですよ。そこからわがままを言って、上から塗装で馴染ませる加工をしてもらったら、うまい具合に溶け込んで。おかげで、飽きずにずっと持っていたいと思えるベースになりました。
― その馴染み具合も再現しているわけですね。
あいにゃん はい。色味もかなり再現してもらっています。
― ピックガードとコントロールパネルがJazz Bassには珍しく一体型になっていますが、こだわりがあるんですか?
あいにゃん 80年代前半のStandard Jazz Bassの見た目が好きなんです。
― すぅさんのSILENT SIREN Telecasterは、すぅさんがイチからデザインした完全オリジナルモデルです。
すぅ 初めて買ったギターが赤いTelecasterで、良き相棒として長い間使っていたので、Telecasterには愛着があるんですよ。私はTelecaster Thinlineを使っているイメージがあると思うんですけど、シンラインってスタンダードな色味が多いので、シグネイチャーモデルとして自分らしさを出すなら、世に出ていないモデルを作りたいと思って、オールホワイトのボディとネックにしました。指板もわがままを言って、白にしていただいたんですけど、そこはご苦労を掛けました(笑)。ポジションマークもシェルにしたんですよ。
― ほんとだ!
すぅ ファッション的にもすごくかわいいですよね。シンラインにしなかった理由はもうひとつあって、音作りが簡単にできるほうがいいなと思ったからなんです。自分が普段使っているモデルに近づけるために、fホールのマークだけをつけさせてもらって、何百色もあるカラーチャートの中から“すみれ色”を選びました。
― 弾きやすさにもこだわっているんですか?
すぅ それもポイントで、Telecasterってけっこうボディが厚くて、低い位置で弾きたくてもボディが腰に当たってしまう。だからみんな、高い位置で弾くことが多いと思うんですけど、もう1本使っているピンク色のJazzmasterのボディが自分の体にフィットしていたので、そのシェイプを落とし込んでもらったんです。だから今、自分が使っているシンラインよりもボディ的にフィットするという(笑)。
― サウンド面でもこだわりがあるそうですね。
すぅ Telecasterには珍しいリアハム仕様(リアピックアップがハムバッカー)になっているんです。尖っているけどすごく太くて、粒立ちの良さをステージでアンプで鳴らした時に感じられたので、そういう意味でもすごくいい1本になりましたね。
― そういう音を求めていたんですか?
すぅ いや、音を出したら“めっちゃいいじゃん”ってなりました(笑)。ずっと欲しかった音というよりは、こういう音が欲しかったんだって気付かされたんです。実はこのTelecaster、もうライヴでもけっこう使っているんですよ。
あいにゃん fホールが空いてないのがすごく新鮮。
すぅ fマークだけって、きっとTelecasterではないですよね。だから、どうなのかなとは思ったんですけど、もうやったれって(笑)。
― どこにもない自分らしい1本を作りたかったんですもんね。
すぅ あいにゃんのネイティヴ柄も他にはないじゃないですか。そういう意味では、世界に1つしかない2本ができたのかな。
― TelecasterのSHAWBUCKER(ハムバッカー)も含め、両モデルともにこの価格では乗らない部品が使われているそうですね。
すぅ 音の良し悪しがわからない初心者でも安心して使ってもらえるように、できるだけ価格を抑えた上で、いいものを作りたかったんです。
― 手にしてもらった人には、どんなことを感じてほしいですか?
すぅ 私は最初、チャットモンチーのえっちゃん(橋本絵莉子)と同じ真っ赤なTelecasterを買って、それを持っているだけでもテンションが上がって、早く弾けるようになりたい、練習したいと思えたんです。見た目から入ってもらっても、極端なことを言ったらお気に入りのバッグを持つような感覚でも全然かまわないので、それで楽器に触れる時間が長くなって、ギターやベースが好きになってくれたらいいなと思ってます。
あいにゃん 私も最初、楽器屋さんに行って、“わ、これかっこいい!弾きたい!”とひと目惚れしてベースを買ったので、サイサイを知っているとか知らないとかを抜きに、このベースをパッと見て、いいなと思って楽器を始めてくれる人がいたら嬉しいです。これが楽器屋さんに並ぶことがそもそも嬉しいんですけど、そういう出会いのきっかけになってくれたらいいですね。
SILENT SIREN TELECASTER®
カラー:ARCTIC WHITE WITH VIOLET DECORATION STRIPE
仕様:ALDER BODY, MAPLE NECK, MAPLE FINGERBOARD, SLIM C NECK SHAPE, 6-SADDLE STRINGS-THROUGH-BODY HARDTAIL BRIDGE, SHAWBUCKER™ BRIDGE PICKUP, VINTAGE SINGLE-COIL TELE® NECK PICKUP
メーカー希望小売価格:125,000円(税抜)
2019年12月26日発売
SILENT SIREN JAZZ BASS®
カラー:SURF GREEN WITH DECORATION STRIPE
仕様:ALDER BODY, MAPLE NECK WITH MATCHING HEADSTOCK, MAPLE FINGERBOARD, SLIM C NECK SHAPE, 4-SADDLE HIMASS™ VINTAGE (STRING-THROUGH-BODY OR TOPLOAD) BRIDGE, V-MOD SINGLE-COIL JAZZ BASS® BRIDGE & NECK PICKUPS
メーカー希望小売価格:125,000円(税抜)
2019年12月26日発売
PROFILE
SILENT SIREN
Vo&Gt.すぅ(吉田菫)、Dr.ひなんちゅ(梅村妃奈子)、Ba.あいにゃん(山内あいな)、Key.ゆかるん(黒坂優香子)の4名からなるガールズバンド。 2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。 通称”サイサイ”として親しまれ、原宿を中心に女子中高生に人気が広がり、LINE公式アカウントの登録者数は55万人を超える。
2015年には、メジャーデビュー後、ガールズバンド史上最短で武道館単独公演を行い、翌年には横浜アリーナ公演、2016年からはアジア・アメリカを周るワールドツアーも開催している。 2016年年末、ユニバーサルミュージック / EMI Recordsへの移籍を発表。 同時にロゴ、バンド名表記を全大文字へと一新。 2017年にはデビュー5周年記念日にツアーファイナルとしてバンド初となる武道館2Days公演を成功させ、2018年自身最多公演となる全国ツアーも大盛況の中終了した。そして2019年5月に行われたメットライフドームでの対バンライブも大成功を収めた。
2018年から全国ラーメンチェーン「天下一品」のイメージキャラクターも務め、テーマソングも提供し同CMに出演中。 2020年のバンド結成10周年に向けて唯一無二の存在となったガールズバンド「サイサイ」の勢いは止まらない!
› Website:https://silent-siren.com