#FenderNews / トレブルブリード回路がトーンに与える影響
トレブルブリード回路がトーンに与える影響
American Profeshionalなどに装備されているトレブルブリード回路は、ヴォリュームを絞った時でもトーンを劣化させることはありません。
弾き方、指、タッチ、アンプ、エフェクトペダル、ピック、弦の種類など、ギタートーンには多くの要素が関わっています。これらのすべての要素を調整することで、様々なトーンを生み出すことができるのです。
多くのギターでは、ギターのヴォリュームを10まで上げた時と、ヴォリュームを絞った時でトーンに違いがあることに気づいた人もいるでしょう。通常ヴォリュームを10まで上げると、アンプはピックアップからの信号をフルに受けて、豊かなトーンを得ることができます。
反対に、ヴォリュームを絞ると徐々に高音域の信号が失われ、ギターの音に変化が出てきてしまいます。これは、ピックアップとポテンショメーターの抵抗と静電容量の関係に起因します。
基本的に、抵抗と静電容量は反比例する関係にあります。そのため、ヴォリュームを上げた場合は、ペダルやアンプに伝わらない周波数だけが高くなり、耳にはあまり影響がありません。しかし、ヴォリュームを絞ると抵抗値が上がり、遮断された高音域の周波数がトーンに変化をもたらします。
もちろん、このトーンの変化を好むギタリストも存在しますが、多くのギタリストは この問題の解決を望んでいるでしょう。
かなり技術的な話に聞こえると思いますが、実はシンプルな解決策なのです。トレブルブリード(バイパス)回路を導入することで、ヴォリュームを絞っても高音をそのまま保つことができるのです。American Profeshionalシリーズのトレブルブリード回路を設計した、フェンダーのエンジニアであるジョナサン・パリッシュは「これは、問題を解決しようとしていたプレイヤーたちが一般的に行っていた改造の一つです」と述べています。
基本的なバイパス回路は、ヴォリュームコントロールにハンダ付されたでキャパシタ構成されています。「キャパシタを使用していて気がついたのは、ヴォリュームを1下げて90%にした途端に、低音が出なくなってしまうことでした」そこで、失われた低音を取り戻すために、キャパシタと一緒に抵抗を追加することにしました。
American Professionalに搭載されているShawbuckerピックアップにも、キャパシタと一緒に抵抗を追加しています。「Shawbuckerのトーンには厚みがあります。Shawbuckerはヴォリュームを下げると低音が出てくるので、これを抑えることでトーンを均一にしたかったのです」とジョナサンは説明します。
American Professional Stratocaster、Telecaster、Jaguar、Jazzmasterのシングルコイル・ピックアップに採用されているトレブル・ブリード回路は、それをさらに一歩進めたものです。ジョナサンがこのトレブルブリードを開発するにあたり、キャパシタに対して一つの抵抗は直列に、もう一つの抵抗を並列に取り付けることで、ヴォリュームを絞っても素晴らしいトーンを引き出すことができることを発見したのです。「キャパシタを取り付けることで、回路全体で一定の電圧降下が発生します」ジョナサンは続けます。「もう一つ抵抗を追加することで、高音域を少し落ち着かせることができ、この組み合わせをそれぞれのギターのピックアップに合わせて調整することで、より素晴らしいトーンを実現することができたのです」
もちろん、他にもヴォリュームの大小に関わらず、素晴らしいトーン奏でる方法はあるでしょう。しかし、ピックガードの下に隠されたこの秘密が、ヴォリュームを絞ったときでもクリアなトーン生み出すことは間違いありません。